最低賃金56円アップ、扶養内で働く人は年収が増えず時間だけ減る。東京の最低賃金なら週19.5時間が上限【2026年10月】

結論から書きます。

2026年10月から、最低賃金は全国平均で56円上がりました。週20時間働く人なら、年に約5万8,000円の増額です。

ただ、扶養の範囲(年130万円未満)に収めて働き続けるなら、年収は増えません。時給が上がった分、働ける時間が減るだけです。東京の最低賃金(1,280円)で計算すると、週19.5時間がその上限になります。

しかも同じ10月に、社会保険の「106万円の壁」もなくなりました。この記事では、厚生労働省・日本年金機構・国税庁などの公表資料だけを使って、「結局、何時間までなら働けるのか」を計算しました。私自身はパートで働いていないので、体験談はありません。数字だけの話です。

2026年度の最低賃金は全国平均1,177円、発効日は県でバラバラ

厚生労働省の全国一覧によると、2026年度の最低賃金は全国平均(働く人の数で重みをつけた平均)で1,177円です。前の年の1,121円から56円上がりました。

56円という上げ幅は、今の決め方になった1978年度以降で2番目の大きさです。1番目は前の年(2025年度)です。

注意したいのは、新しい金額に変わる日(発効日)が都道府県ごとに違うことです。10月1日に変わったのは15都道府県だけで、一番遅い沖縄は12月2日です。それまでは古い金額のままです。

全47都道府県の金額と発効日は、記事の最後に表でまとめました。主な所だけ先に並べます。

都道府県 新しい時給 前の時給 上げ幅 発効日
東京 1,280円 1,226円 +54円 10月1日
大阪 1,231円 1,177円 +54円 10月1日
兵庫 1,172円 1,116円 +56円 10月1日
愛知 1,195円 1,140円 +55円 10月1日
京都 1,180円 1,122円 +58円 11月16日
宮崎 1,085円 1,023円 +62円 10月24日

一番高い東京(1,280円)と一番低い宮崎(1,085円)の差は195円です。

時給が56円上がると、手取りの前の金額はいくら増えるか

まず単純な計算です。時給が56円上がったとき、1年(52週)働くと、税金や保険料を引く前の収入がいくら増えるかを出しました。

1週間の労働時間 1か月あたり 1年あたり
週10時間 約2,400円 2万9,120円
週20時間 約4,900円 5万8,240円
週30時間 約7,300円 8万7,360円
週40時間 約9,700円 11万6,480円

週40時間のフルタイムなら、年に11万円以上増えます。最低賃金で働く人にとって、小さい額ではありません。

ただし、これは「働く時間が変わらなければ」の話です。扶養の範囲で働いている人は、ここで話が変わります。

10月から、社会保険の線は「年収106万円」ではなく「週20時間」になった

ここで、もう1つの10月の変化を説明します。

これまで、パートで働く人が勤め先の社会保険(厚生年金と健康保険)に入るかどうかには、「月の給料が8万8,000円以上」という条件がありました。年にすると約106万円なので、「106万円の壁」と呼ばれていました。

日本年金機構によると、この給料の条件は2026年10月1日になくなりました。残った主な条件は次の3つです。

  • 1週間の決まった労働時間が20時間以上
  • 勤め先が従業員51人以上の会社
  • 学生ではない

つまり、従業員51人以上の会社では、年収に関係なく、週20時間以上働くと社会保険に入ります。線が「お金」から「時間」に変わったということです。

社会保険に入ると、厚生年金の保険料だけで給料(標準報酬月額)の9.15%(本人負担分)が引かれます。そのかわり、将来の年金が増え、病気で休んだときの手当なども受けられます。損か得かは人によるので、ここでは「線がどこにあるか」だけを書きます。

また、契約上は週20時間未満でも、実際に週20時間以上働く状態が2か月を超えて続くと、加入の対象になることがあります。

なお、従業員50人以下の会社は、会社と従業員が合意した場合を除き、この条件の対象ではありません。この「会社の規模」の条件も、2027年10月から段階的になくなる予定です。

扶養内で働く人の上限は「130万円」。時給が上がると時間が減る

配偶者や親の健康保険の扶養に入っている人には、もう1つ線があります。年収130万円未満という条件です(19歳以上23歳未満の人は150万円未満。ただし配偶者は除くので、配偶者の扶養なら年齢に関係なく130万円です。60歳以上と一定の障害がある人は180万円未満)。

この線は、時給が上がっても動きません。だから、130万円ギリギリで働いていた人は、時給が上がった分だけ働く時間を減らさないと、扶養から外れます。

最低賃金で働いた場合に、130万円未満に収まる時間を計算しました。

地域(最低賃金) 130万円までの年間時間 1週間あたり
東京(1,280円) 約1,016時間 約19.5時間
大阪(1,231円) 約1,056時間 約20.3時間
全国平均(1,177円) 約1,105時間 約21.2時間
兵庫(1,172円) 約1,109時間 約21.3時間
宮崎(1,085円) 約1,198時間 約23.0時間

兵庫で見ると、前の時給(1,116円)なら年約1,165時間まで働けました。新しい時給では約1,109時間です。年収は同じ130万円未満のまま、働ける時間が年に約56時間減ります。1日4時間のシフトなら、14回分です。

ここで、前の章の「週20時間」と組み合わせると、地域によって先に来る線が違うことが分かります。

  • 東京: 週19.5時間で130万円に届きます。社会保険の「週20時間」より先に、扶養の線が来ます。
  • 兵庫・全国平均くらいの地域: 扶養の線は週21時間台です。従業員51人以上の会社なら、その前に「週20時間」で社会保険に入ります。
  • 従業員50人以下の会社: 週20時間の線はないので、扶養の線(兵庫なら週21.3時間)が上限です。

最低賃金ではなく、それより高い時給で働いている人は、上の表より短い時間で130万円に届きます。自分の時給で「130万円÷時給÷52」を計算すると、1週間の上限の目安が出ます。

130万円の判定は、2026年4月から「契約の内容」で見る

もう1つ、今年変わった点があります。協会けんぽや厚生労働省の案内によると、2026年4月から、扶養に入れるかどうかの年収は、労働条件通知書などの労働契約に書かれた賃金から見込むようになりました。

契約で決まっていない残業代は、原則としてこの見込みに含めません。一方で、契約に書かれた手当や賞与は含めます。

労働時間が「シフトによる」としか書かれていない場合や、契約期間が1年未満の場合は、契約からは判定できません。その場合は、これまでどおり給与明細や課税証明書などで年収を見込みます(厚生労働省のQ&A)。

時給が上がったら、契約上の時給×決まった時間(契約にある手当・賞与も含む)で130万円を超えていないか、契約書を一度見ておくのが安全です。

税金の壁は今年大きく上がった。所得税は178万円、住民税は119万円

税金の線は、今年かなり上がっています。

所得税: 国税庁の案内では、2026年分と2027年分は、基礎控除が104万円、給与所得控除の最低額が74万円です。給料だけの人なら、年収178万円までは所得税がかかりません(前の年は160万円)。この変更は12月の年末調整でまとめて精算されます。

住民税: 兵庫県宝塚市の案内によると、2026年と2027年の給料が119万円以下なら、翌年度の住民税はかかりません(前は110万円以下。収入が給料だけで、扶養家族がいない場合)。扶養家族がいる場合や、住んでいる地域によっては金額が変わることがあるので、住んでいる市区町村の案内で確認してください。

最低賃金で週20時間働くと、兵庫では年約121万9,000円です。所得税はかかりませんが、住民税の119万円は少し超えます。住民税の線は、社会保険や扶養の線より低い所にあります。

また、同じ宝塚市の案内では、家族の住民税の配偶者控除・扶養控除の対象になる給料の上限も、123万円から136万円に上がっています。

私の結論:「何円まで」ではなく「週何時間まで」で考える

計算してみて分かったのは、パートの線が「お金」から「時間」に移ってきていることです。

最低賃金は、ここ3年、毎年50円以上上がっています。扶養の130万円は動かないので、時給が上がるたびに、扶養内で働ける時間は少しずつ短くなります。東京では、もう週20時間を切りました。

なので、10月以降に確認することは3つだと考えます。

  1. 自分の県の発効日と、新しい時給(記事の最後の表)。12月まで変わらない県もあります。
  2. 勤め先の従業員数が51人以上かどうか。51人以上なら、週20時間が社会保険の線です。
  3. 扶養に入っているなら、契約上の時給×時間で130万円未満か。「130万円÷時給÷52」で週の上限が出ます。

扶養を外れて社会保険に入るほうが、将来の年金まで含めると得になる人もいます。どちらがいいかは家庭によって違います。ただ、どの線がどこにあるかを知らないまま年末を迎えると、12月にシフトを急に減らすことになりかねません。早めに計算しておくのがおすすめです。

まとめ

  • 2026年度の最低賃金は全国平均1,177円(+56円)。発効日は10月1日〜12月2日で、県ごとに違います。
  • 週20時間なら、年に約5万8,000円の増額です。
  • 10月1日に「月8万8,000円」の条件がなくなり、従業員51人以上の会社では週20時間以上で社会保険に入ります。
  • 扶養の130万円は変わらないので、扶養内に収めるなら年収は増えず、働ける時間が減ります。兵庫の最低賃金なら年約56時間減です。
  • 東京の最低賃金では、週19.5時間で130万円に届きます。
  • 所得税は年収178万円までかかりません。住民税は宝塚市の場合、給料だけで扶養家族がいなければ119万円以下で非課税です(市区町村で異なることがあります)。

制度は細かい条件で変わることがあります。最終的には、勤め先、加入している健康保険、住んでいる市区町村の案内で確認してください。

ではまた。

【一覧】2026年度 都道府県別の最低賃金と発効日

厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」より。前の時給は、発効日の前日まで使われる金額です。

都道府県 新しい時給 前の時給 上げ幅 発効日
北海道 1,131円 1,075円 +56円 10月1日
青森 1,090円 1,029円 +61円 10月29日
岩手 1,090円 1,031円 +59円 12月1日
宮城 1,098円 1,038円 +60円 10月1日
秋田 1,090円 1,031円 +59円 10月14日
山形 1,092円 1,032円 +60円 10月30日
福島 1,094円 1,033円 +61円 10月16日
茨城 1,136円 1,074円 +62円 10月18日
栃木 1,125円 1,068円 +57円 10月1日
群馬 1,120円 1,063円 +57円 10月3日
埼玉 1,196円 1,141円 +55円 10月1日
千葉 1,195円 1,140円 +55円 10月1日
東京 1,280円 1,226円 +54円 10月1日
神奈川 1,279円 1,225円 +54円 10月1日
新潟 1,108円 1,050円 +58円 10月1日
富山 1,119円 1,062円 +57円 10月1日
石川 1,113円 1,054円 +59円 10月3日
福井 1,112円 1,053円 +59円 10月4日
山梨 1,113円 1,052円 +61円 11月1日
長野 1,117円 1,061円 +56円 10月2日
岐阜 1,121円 1,065円 +56円 10月1日
静岡 1,154円 1,097円 +57円 10月15日
愛知 1,195円 1,140円 +55円 10月1日
三重 1,143円 1,087円 +56円 10月1日
滋賀 1,136円 1,080円 +56円 10月3日
京都 1,180円 1,122円 +58円 11月16日
大阪 1,231円 1,177円 +54円 10月1日
兵庫 1,172円 1,116円 +56円 10月1日
奈良 1,107円 1,051円 +56円 10月4日
和歌山 1,101円 1,045円 +56円 10月3日
鳥取 1,090円 1,030円 +60円 10月3日
島根 1,092円 1,033円 +59円 10月10日
岡山 1,104円 1,047円 +57円 10月2日
広島 1,141円 1,085円 +56円 10月11日
山口 1,101円 1,043円 +58円 10月8日
徳島 1,103円 1,046円 +57円 11月1日
香川 1,092円 1,036円 +56円 10月1日
愛媛 1,093円 1,033円 +60円 11月1日
高知 1,086円 1,023円 +63円 10月29日
福岡 1,114円 1,057円 +57円 10月4日
佐賀 1,095円 1,030円 +65円 11月15日
長崎 1,087円 1,031円 +56円 11月2日
熊本 1,092円 1,034円 +58円 12月1日
大分 1,096円 1,035円 +61円 11月1日
宮崎 1,085円 1,023円 +62円 10月24日
鹿児島 1,090円 1,026円 +64円 10月25日
沖縄 1,086円 1,023円 +63円 12月2日
全国平均 1,177円 1,121円 +56円 -

参考にした資料

おすすめ(おもろいの)

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