結論から書きます。
高速道路で毎日通勤していて、通行料が月4万8,000円かかっている人は、条件が合えば年28万8,000円が戻ってきます。使うのはNEXCOの「平日朝夕割引」です。
必要な手続きは、ETCマイレージサービスへの登録1回だけです。登録すると、翌月から自動で還元されます。登録していなければ、1円も戻りません。
ただし、条件が1つ外れると、戻る額は半分や0円になります。特に効くのは「帰りの時刻」と「走る区間」の2つです。
この記事では、NEXCO各社の公式ページの数字を使って、次の3つを確かめられるようにしました。
- 平日朝夕割引で、自分はいくら戻るか(月4万8,000円なら最大で月2万4,000円)
- どの条件で、戻る額が減るか(帰りが20時を過ぎると半分)
- 割引の対象外の人には、何があるか(6道県だけの「通勤パス」)
なお、私は高速道路で通勤していません。体験談はありません。公式ページの条件と、それを使った計算だけの話です。
平日朝夕割引とは:平日の朝と夕方に乗ると、翌月に最大約50%戻る
平日朝夕割引は、NEXCO東日本・中日本・西日本の3社が行っているETCの割引です。条件は次の4つです。
- 曜日:平日(月〜金)。祝日は除きます。
- 時間:朝6時〜9時、夕方17時〜20時。入口か出口のどちらかの料金所を、この時間内に通ればよい、とNEXCO東日本のページにあります。
- 道路:NEXCO3社の「地方部」の高速道路(宮城県道路公社の仙台松島道路も対象)。東京近郊・大阪近郊の区間は対象外です(後で詳しく書きます)。
- 登録:ETCマイレージサービスへの事前登録が必要です。登録料はかかりません。
還元の割合は、1か月(1日〜末日)に何回乗ったかで決まります。
| 1か月の対象回数 | 還元の割合 |
|---|---|
| 1〜4回 | 0%(還元なし) |
| 5〜9回 | 約30% |
| 10回以上 | 約50% |
数え方には決まりが2つあります。
- 1日に数えるのは最大2回までです。朝の時間帯の最初の1回と、夕方の時間帯の最初の1回だけです。
- 回数はETCカードごとに数えます。夫婦で別々のカードを使うと、回数は合算されません。
もう1つ大事な点があります。料金所で払う額は安くなりません。いったん通常料金を払い、翌月20日に「還元額」として戻ってきます。戻った還元額は、その後の通行料金の支払いに自動で使われます。
つまり、料金所の表示を見ても割引されたようには見えません。「登録したのに安くなっていない」と感じても、翌月の還元を待つ仕組みです。
月4万8,000円の通勤だと、いくら戻るか
ここからは計算です。次の通勤を例にします。
- 片道の通行料金:1,200円(普通車、ETC料金)
- 出勤日:月20日(祝日は対象外なので、祝日を除いて毎月20日出勤できた場合)
- 往復するので、1か月で40回
- 通行料金の合計:1,200円×40回=月4万8,000円
還元額の計算方法は、NEXCO西日本のQ&Aに書かれています。「通常料金×(100%−還元率)」を10円単位で四捨五入し、その額を通常料金から引いた分が還元額です。
1,200円で還元率50%なら、1,200円×0.5=600円。戻るのは1回600円です。
パターン1:朝も帰りも時間内(一番得をする形)
朝6〜9時に乗り、帰りも17〜20時に乗る場合です。1日2回とも対象なので、1か月40回。10回以上なので還元率は約50%です。
- 還元額:600円×40回=月2万4,000円
- 1年(12か月)で28万8,000円
月4万8,000円の通行料金が、実質月2万4,000円になります。
パターン2:帰りが20時を過ぎる(戻る額は半分)
帰りに料金所を通るのが20時を過ぎる日が続くと、夕方の回は対象になりません。対象は朝の20回だけです。
20回なら10回以上なので、還元率は50%のままです。ただし、対象になる回数が半分になります。
- 還元額:600円×20回=月1万2,000円
- 1年で14万4,000円
帰りに高速に乗る時刻が19時59分か20時01分か(出口も20時を過ぎる場合)で、1日600円が変わります。月20日なら1万2,000円の差です。
時間の判定は入口か出口のどちらかなので、帰りは「17〜20時のうちに高速に乗る」ことができれば対象になります。残業で乗る時刻がずれる人は、ここが一番効きます。
パターン3:出社が週2〜3日(回数で割合が変わる)
在宅勤務が混ざって、出社が月の一部だけの人です。回数で還元率が変わるので、境目に注意が要ります。
| 出社日数(往復とも時間内) | 対象回数 | 還元率 | 月の還元額 |
|---|---|---|---|
| 月12日(週3日程度) | 24回 | 約50% | 1万4,400円 |
| 月5日 | 10回 | 約50% | 6,000円 |
| 月4日 | 8回 | 約30% | 2,880円 |
| 月2日 | 4回 | 0% | 0円 |
※還元率30%の場合、1,200円×0.7=840円なので、1回の還元額は360円。8回で2,880円です。
月5日と月4日では、往復1回分の差しかありません。それなのに、戻る額は6,000円と2,880円で2倍以上違います。10回目に届くかどうかが境目です。
戻る額が0円になる3つのケース
ケース1:ETCマイレージサービスに登録していない
一番多いと考えられるのがこれです。ETCカードを持っていて、毎日朝夕に乗っていても、ETCマイレージサービスに登録していなければ還元はありません。
ETCカードを作ったときに自動で登録される仕組みではありません。自分で登録した覚えがなければ、登録されていない可能性があります。NEXCOのページによると、登録済みの人は改めての申し込みは不要です。
ケース2:走っているのが東京近郊・大阪近郊の区間だけ
平日朝夕割引の対象は「地方部」の高速道路です。NEXCO東日本のページでは、対象外の区間として次のような例が挙げられています。
- 東北道:川口JCT〜加須
- 常磐道:三郷〜谷田部
- 東名高速:東京〜厚木
- 中央道:高井戸〜八王子
- 名神高速:大津〜西宮
- 第二神明道路、第二阪奈道路、関門トンネル
たとえば東名で東京ICから厚木ICの間だけを毎日通勤している場合、この割引は使えません。首都高速・阪神高速はNEXCOとは別の会社の道路で、この割引の対象路線に含まれていません。
大都市近郊の区間と地方部をまたいで走る場合は、地方部の部分だけが対象になります。
ケース3:休日割引・深夜割引が適用された走行
休日割引、深夜割引、アクアライン割引が適用された走行は、平日朝夕割引の対象外です。平日の通勤なら休日割引は関係ありませんが、深夜0〜4時に走る夜勤の人は、深夜割引のほうが適用されます(深夜割引は時間帯を広げる見直しが予定されていて、開始時期は未定です)。
100kmを超える長距離通勤は、還元率が下がる
割引の対象になるのは、地方部の区間のうち最大100km相当分までです。片道150kmの通勤でも、50%が戻るのは100km分の料金だけです。
NEXCO西日本のQ&Aでも、100kmを超えると実際の還元率は50%や30%より低くなると書かれています。ただし、100kmを超えていても回数には数えられます。
長距離の通勤では、計算どおりの半額にはならないと考えておいてください。正確な額は、NEXCO西日本の「料金・経路検索」で区間ごとに確認できます。
公式の計算例:長岡IC〜新潟空港ICで月9,700円
NEXCO東日本のページには、実際の区間での計算例が載っています。
- 区間:長岡IC〜新潟空港IC(普通車)
- ETC通常料金:1,950円
- 朝夕1回ずつを5日間、合計10回(還元率50%)
- 1,950円×0.5=975円→10円単位で980円
- 1回の還元額:1,950円−980円=970円
- 10回分:970円×10回=9,700円(翌月に付与)
同じ区間で月20日往復すると40回なので、970円×40回=月3万8,800円になります。私の計算で、公式の例を20日分に延ばしたものです。
対象外の人の選択肢:「通勤パス」は6道県だけ
平日朝夕割引の時間に合わない人のために、NEXCOと国土交通省が試している仕組みがあります。「通勤パス」です。2026年3月3日のNEXCO各社の発表では、内容は次のとおりです。
- 期間:2026年4月1日〜2027年3月31日(社会実験)
- 中身:申し込んだ区間の30回分を、15回分の料金で使える。最大50%割引
- 時間:曜日や時間帯の制限なし。1日3回まで
- 地域:北海道・新潟県・石川県(富山県の一部ICを含む)・山梨県・香川県・長崎県の、決められた区間だけ
- 申し込み:毎月、利用する月の前月末までに、ドラぷら・速旅・みち旅のサイトから申し込む
- 人数:各月先着順。石川県・富山県エリアは1,000名、ほかの5道県は各500名
- 使えるカード:ETCクレジットカードとETCパーソナルカード。ETCコーポレートカードは使えません
平日朝夕割引との大きな違いは、時間の縛りがないことです。帰りが毎日20時を過ぎる人や、土日に出勤する人は、こちらが合う可能性があります。
注意点もあります。通勤パスを申し込んだ月は、その月の高速道路の利用すべてが平日朝夕割引の対象外になります。指定区間の外を走った分も対象外です。休日割引と深夜割引も、通勤パスで走った分には適用されません。
朝夕の時間内に乗れている人は平日朝夕割引、時間外が多い人は通勤パス、と比べて選ぶことになります。
今日やること:登録済みかを確認する
やることは1つです。自分のETCカードが、ETCマイレージサービスに登録されているかを確認します。
- ETCマイレージサービスのサイトで、登録済みかを確認する。登録していなければ登録する(無料)
- 翌月20日以降に、還元額が付いているかを確認する
- 帰りの時刻が20時をまたぐ人は、17〜20時のうちに高速に乗れる日を増やせないかを考える
片道1,200円の通勤で、朝夕とも時間内なら、登録するかしないかで年28万8,000円の差です。登録の作業に、それほどの手間はかかりません。
まとめ
- 平日朝夕割引は、平日の朝6〜9時・夕方17〜20時に地方部の高速道路を走ると、翌月に最大約50%が戻る割引
- 月4万8,000円の通勤(片道1,200円・月20日)なら、朝夕とも時間内で月2万4,000円、年28万8,000円戻る
- 帰りが20時を過ぎると、戻る額は半分(年14万4,000円)
- 月4回以下、未登録、東京・大阪近郊の区間だけ、の場合は0円
- 時間が合わない人には「通勤パス」があるが、6道県の決められた区間だけ
出典:NEXCO東日本「ETC平日朝夕割引」、NEXCO西日本「平日朝夕割引 よくあるご質問」、NEXCO東日本・中日本・西日本「2026年度の通勤パスの実施について」(2026年3月3日)。条件は2026年11月1日時点の公式ページによります。割引の内容は見直されることがあるため、利用前に各社の最新のページで確認してください。