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Xで30万回以上閲覧されている投稿を見かけた。Coinbase(世界最大級の仮想通貨取引所)が、ポケモンカードのパックをスマホで開封できる新機能を予告したという話だ。ブックマークも332件ついていて、保存して後で読み返したい人がこれだけいる時点で、ただの一過性の話題ではなさそうだと感じた。
ただ、結論を先に言っておく。この機能は現状、日本からは使えない。理由は単純で、Coinbaseという会社自体が2023年に日本事業から撤退しているからだ。新機能の中身を知る前に、まずこの一点だけは押さえておいた方がいい。
Coinbaseが予告した機能、分かっていること

9月28日、CoinbaseがX上で新機能をティザー公開した。スマホでパックを開封すると、画面に表示されたカードが実物のカードと1対1で紐づいている仕組みだ。当たったカードは、保管庫(カストディ)に預けたままにするか、自宅に配送してもらうかを選べる。公開されたパックは青の「01」から黒の「05」まで5段階のランク分けがされているが、それぞれの封入率(どのランクのカードがどれくらいの確率で出るか)は明らかになっていない。価格・開始日・使用するブロックチェーンも未発表のままだ。
ポケモン社の公式関与は、まだ確認されていない
The Pokémon Companyからの公式コメントや提携発表は、今のところ出ていない。海外メディアも軒並み「ライセンス契約の有無は不明」と報じており、Coinbase側も提携の有無に触れていない。つまり現時点では、Coinbaseが独自に実物カードを調達してこの仕組みを作っている可能性が高く、ポケモン社公認のサービスだと決めつけるのは早い。
日本からは今のところ使えない、という事実
Coinbaseは2023年1月18日に日本事業の見直しを発表し、同年2月16日をもって日本居住者向けのサービスを全面的に終了している。これは仮想通貨取引だけでなく、Coinbaseという会社が提供するサービス全体の話だ。今回のポケカ開封機能も、Coinbaseのアプリ・アカウントが前提である以上、現状は日本の居住者が普通に使える状態にはない。将来的に日本向けに再展開される可能性はゼロではないが、それを示す発表は現時点で一切無い。
そもそもなぜ仮想通貨取引所がトレカに参入するのか
Coinbaseのようなブロックチェーン企業が実物のトレーディングカードに参入する動きは、今回が初めてではない。「現物資産をブロックチェーン上のトークンに紐づける」仕組み(RWA、Real World Asset)は、ここ数年で仮想通貨業界の新しいテーマとして急速に広がっている。株式や不動産ではなく、ポケモンカードのような趣味性の高い資産から着手するのは、カードゲーム市場自体がここ数年、世界的に価格高騰と流動性不足(売りたくても買い手が見つからない、鑑定に時間がかかる)という課題を抱えているからだと考えられる。開封体験をデジタル化し、保管・売買をオンラインで完結させれば、この流動性の課題に対する一つの答えになりうる。
ただし、これは仮想通貨取引所が「ユーザーの射幸心」に商品価値の一部を乗せている側面も同時に持つ。パックを開ける瞬間のドキドキ感そのものが体験の核になっている以上、ガチャやオリパと本質的な構造は変わらない。
似たサービスは既にある、しかも結果は分かれている
実は「パックをスマホで開封し、実物カードを保管庫か自宅配送で受け取る」という仕組み自体は目新しくない。米国ではGameStopが2026年4月、鑑定機関PSAと組んで「Power Packs」という同種のサービスを開始済みだ。25ドルから5,000ドルまでの価格帯のパックを開封でき、当たったカードの推定価値に応じて確率が決まる仕組みで、ポケモンカードのほかNBA・NFL・MLBのトレーディングカードも扱っている。
一方、ブロックチェーン側からこの市場に参入したCourtyard.ioは、実物カードを警備大手Brink'sの保管庫で管理しNFTとして発行・売買できるサービスだが、現在は新規カードの保管受付を一時停止中だ。新しい仕組みほど、需要に運営が追いつかず止まる例も実際に出ている。Coinbaseの新機能が同じ壁にぶつからない保証はどこにもない。
ちなみにGameStopのPower Packsについては、海外メディアのKotakuが「ポケモンカードのギャンブル化」という厳しい見出しで批判的に報じている。当たりカードの推定価値をもとに確率を提示する設計そのものが、射幸心を刺激する仕組みだという指摘だ。Coinbaseの新機能も、封入率が未公開のまま始まれば同じ批判にさらされる可能性が高い。
直接使えなくても、無関係ではいられないかもしれない
ここからは推測になる。Coinbaseが実物カードを買い集めて保管庫に入れる仕組みである以上、サービスが始まれば市場に出回っているポケモンカードの実物をCoinbase自身が調達する必要がある。需要が大きければ、英語版だけでなく国際的な流通在庫全体の価格に影響する可能性はゼロではない。日本国内のポケカ相場は既に国内外の転売・輸出需要で動いてきた経緯があるので、Coinbaseの調達規模が大きければ、使えない日本の読者にも「価格」という形で間接的に波及することは考えられる。ただしこれは現時点で実際に観測された動きではなく、あくまで構造から導ける仮説であることは断っておく。
国内の「オンラインオリパ」との違いと共通点
日本国内にも似た業態として「オンラインオリパ」が既に存在する。こちらはパックを購入しランダムでカードが当たる仕組みで、オリパ自体を名指しで禁止する専用の法律は今のところ無い。ただし当たったカードをその場でポイントに還元し、そのポイントで引き直すという設計は、繰り返すほど「負ければ何も残らない」賭博罪の構造に近づくとされる。また、当選確率や還元率を実際より高く見せる売り方は、景品表示法違反や詐欺として扱われるリスクがあり、2026年の法改正でこの種の違反には刑事罰の可能性も高まっている。
Coinbaseの仕組みは「外れても必ず何かしらのカードが手に入る」点でオリパの引き直しモデルとは違うが、封入率が未公開のまま開始されれば、同じ透明性の疑問は必ず付いて回る。この点は公式発表を待って確認する必要がある。
待つ以外の選択肢も、実はすでにある
日本の読者が今できる現実的な選択肢は、Coinbaseを待つことだけではない。国内のトレカ専門店やフリマアプリでの売買、先に触れた国内オンラインオリパ(法的な論点は前述の通り)、鑑定済みカードを扱う海外ショップからの個人輸入など、実物カードを手に入れる手段自体はすでに複数ある。Coinbaseの新機能は「デジタルで開封体験を楽しみつつ実物も手に入る」という利便性を足すだけで、ポケモンカードの入手ルートを独占するわけではない。過度に特別視せず、数ある選択肢の一つとして様子を見るのが妥当だろう。
結局、今の時点でやるべきことは「待つ」だけ
話題性は本物だ。閲覧30万超、保存率の高さを見ても、海外のポケカ・仮想通貨コミュニティの関心は高い。ただ日本の読者にとって今できることは実質無い。Coinbaseが日本向けにサービスを再開するか、別の国内事業者が似た仕組みを展開するか、どちらかの発表を待つしかない。価格・封入率・ポケモン社の関与といった核心情報も含めて、続報が出た時点で改めて書く。
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