住宅ローン控除の2年目。11月に税務署から封筒が届いて、「これ、どこに何を書くの?」と手が止まっていませんか。
先に結論です。2年目からは確定申告は要りません。会社に出す書類は基本2種類で、年末調整だけで終わります。
ただ、調べていくと見落としやすい点が2つありました。1つ目は、入居した年によって控除の上限が変わることです。省エネ基準の新築で子育て・若者夫婦世帯に当たらない人なら、2023年入居と2024年以降の入居で、1年あたりの上限が7万円違います。2つ目は、控除額を書く欄を自分で埋める年がこれから来ることです。
この記事では、国税庁が出している令和8年分の記載例と説明書を読み、2年目の書き方を順番に整理しました。私は税理士ではないので、調べた資料をそのまま確かめられる形で書いています。
2年目は「会社に出すだけ」。確定申告はいらない
会社員なら、住宅ローン控除の2年目以降は年末調整で受けられます。国税庁のタックスアンサー(No.1230)にも、給与所得者は2年目以後、年末調整で控除を受けられると書かれています。
1年目だけは確定申告が必要です。1年目に確定申告をしたことで、税務署が2年目以降の書類を作って送ってくれる、という流れになっています。
まだ1年目の確定申告をしていない人は、この記事の書類はまだ届きません。2026年に入居した人は、2027年の確定申告が先です。
会社に出すのは基本この2種類
国税庁の説明書「年末調整で住宅借入金等特別控除を受ける方へ」によると、提出するのは次のとおりです。
| 書類 | どこから届く | 証明書方式 | 調書方式 |
|---|---|---|---|
| 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書 兼 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書 |
税務署 | 出す | 出す |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 銀行など | 出す | 不要(発行されない) |
名前が長いので、この記事では1つ目を「証明書兼申告書」、2つ目を「残高証明書」と呼びます。借入先が2つ以上ある人は、残高証明書をすべて出すので、枚数はその分増えます。
「証明書方式」と「調書方式」の違いは、年末のローン残高を誰が税務署に伝えるかです。
- 証明書方式:銀行があなたに残高証明書を送り、あなたが会社に出す
- 調書方式:銀行が税務署に直接データを出す。あなたに残高証明書は届かない
調書方式は、銀行に「住宅ローン控除の適用申請書」(マイナンバーを書く書類)を出した人が対象です。銀行から残高証明書が来ないのに慌てる必要はありません。調書方式なら、そもそも出さなくていい書類です。
届くのは11月下旬。2年目以降の分がまとめて来る
書類の届く時期は決まっています。
- 証明書兼申告書(紙):入居2年目の11月下旬ごろ、2年目以降の分をまとめて郵送
- 証明書兼申告書(電子):毎年11月中旬ごろ、e-Taxのメッセージボックスに届く(事前に同意の手続きをした人だけ)
- 残高証明書:毎年11月下旬ごろ、銀行などから届く(証明書方式の人だけ)
ここで大事なのは、紙で受け取る人には、税務署の書類が2年目に一度しか届かないことです。3年目以降の分も、2年目の封筒に年ごとの用紙として入っています。電子で受け取る人は、毎年11月中旬ごろにその年の分が届きます。
国税庁の説明書にも、「令和9年分以後も使用するので保存しておいてください」とはっきり書かれています。来年の分を捨てると、税務署に再発行を頼むことになります。封筒ごと、クリアファイルに入れておくのが安全です。
電子で受け取って会社に紙で出したい場合は、国税庁の「QRコード付証明書作成システム」で印刷できます。
書き方は「残高×0.7%」が基本。ただし3段階ある
証明書兼申告書の計算欄は、上から順に埋めると控除額が出る作りです。流れはこうなります。
- 年末のローン残高を書く(家と土地で区分が分かれている)
- 家や土地の値段(取得対価)と比べ、少ない方を使う
- 自宅として使っている割合(居住用割合)を掛ける
- 控除率を掛ける。2022年以降の入居は0.7%、2021年以前は1%
- 入居年ごとの控除限度額(例:年21万円)で頭打ちにする
- 100円未満は切り捨てる
居住用割合は、店舗や事務所と兼ねていなければ100%です。普通の住まいなら、ここで迷うことはほとんどありません。
区分(家だけ・土地だけ・家と土地)は、届いた証明書に書かれた区分のとおりに記入します。自分で決めるものではありません。
調書方式の2年目は、ほぼ印字済み
令和8年分の記載例を読んで、一番ほっとした点がここです。
調書方式の人の令和8年分の書類には、原則として、銀行のデータをもとにした年末残高が最初から印字されています。控除の見込み額も書かれているので、計算の参考にできます。
証明書方式の人は、残高証明書を見ながら年末残高を自分で書き写します。借入先が2つ以上ある人は、全部の残高証明書を出す必要があります。
注意:3年目からは調書方式でも空欄になる
ここが見落としやすい点です。国税庁の記載例には、調書方式でも令和9年分以降は年末残高の欄が空欄になると書かれています。年末残高が書かれるのは、入居2年目の証明書だけだからです。
3年目以降は、銀行から届く返済計画表(返済予定表)を見て、年末の残高を自分で書きます。2年目は印字済みで楽だった人ほど、3年目に手が止まりやすい作りです。
返済計画表は捨てずに、証明書兼申告書と同じ場所にしまっておくのがおすすめです。
繰上返済をした年は、実際の残高で計算する
印字された残高と、実際の残高がずれることがあります。代表例が繰上返済です。
国税庁の記載例には、繰上返済などで年末残高が変わった場合は、実際の年末残高で計算する必要があると書かれています。印字された数字をそのまま写すと、控除が多すぎる計算になります。後から追加で税金を払うことになるので、繰上返済をした年は必ず見直してください。
金利の見直しや繰上返済を考えている人は、住宅ローン、金利2%の差が生む1200万円の沼という話も参考にしてみてください。
入居年で上限が変わる。省エネ住宅なら年7万円の差
控除額の上限は、入居した年と家の種類で決まります。国税庁タックスアンサー(No.1211-1)の表を、新築の場合でまとめました。年間の控除上限は「借入限度額×0.7%」です。
| 家の種類 | 2022〜2023年入居 | 2024〜2025年入居 | 2024〜2025年入居 (子育て・若者夫婦世帯) |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 年35万円 | 年31.5万円 | 年35万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 年31.5万円 | 年24.5万円 | 年31.5万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 年28万円 | 年21万円 | 年28万円 |
| その他の住宅 | 年21万円 | 原則0円(条件を満たせば年14万円・10年) | 同左 |
控除期間は、表のどれも原則13年です。「その他の住宅」で2024年以降に入居した人は、条件を満たした場合だけ10年になります。
同じ省エネ基準適合住宅でも、2023年入居なら年28万円、2024年・2025年入居なら年21万円が上限です。子育て・若者夫婦世帯に当たらない人なら、差は1年あたり7万円あります。
差の大きさは家の種類と世帯で変わります。子育て・若者夫婦世帯なら、省エネ基準適合住宅でも上限は年28万円のままで、差はありません。長期優良住宅なら、差は年3.5万円です。
ただし、この差が実際に効くのは、年末残高が借入限度額(この例では4,000万円と3,000万円)を超えている人だけです。残高3,000万円以下なら、どちらの年に入居しても控除額は同じになります。
「子育て・若者夫婦世帯」は、次のどれかに当てはまる人です。
- 40歳未満で配偶者がいる
- 40歳以上で、40歳未満の配偶者がいる
- 19歳未満の扶養親族がいる
この判定は、入居した年の12月31日時点で行います。1年目の確定申告で決まった区分が証明書に印字されているので、2年目に自分で選び直すことはありません。国税庁の説明書にも、確定申告で選んだ控除は年末調整で変えられない、と書かれています。
2021年以前に入居した人は、控除率が1%で、上限の考え方も別です。この場合も、届いた証明書の区分と金額に沿って書けば大丈夫です。
引ききれない分は住民税へ。ただし上限がある
控除額が大きいと、所得税だけでは引ききれないことがあります。その残りは、翌年の住民税から引かれます。
住民税側の手続きは不要です。会社が市区町村に出す給与支払報告書をもとに、自動で計算されます(横浜市の説明より)。
ただし、住民税で引ける額には上限があります。
| 入居時期 | 住民税から引ける上限 |
|---|---|
| 2014〜2021年入居で、消費税8%・10%の特定取得に当たる場合 | 所得税の課税総所得金額等×7%(最高136,500円) |
| 上記以外(2022〜2025年入居など。2022年入居で一定の条件を満たす人は上の7%の区分) | 所得税の課税総所得金額等×5%(最高97,500円) |
計算例:控除しきれず消える分もある
数字を当てはめてみます。以下は説明のための仮の数字です。
- 2025年入居・省エネ基準適合住宅・子育て・若者夫婦世帯ではない
- 年末残高3,200万円 → 3,200万円×0.7%=22.4万円
- 控除限度額の年21万円で頭打ち → 控除額は21万円
- 課税総所得金額等が180万円 → 所得税は180万円×5%=9万円
- 所得税の9万円を引いて所得税は0円に。残りは12万円
- 住民税の上限は180万円×5%=9万円(最高97,500円より少ない)
この場合、住民税から引けるのは9万円です。残りの3万円は、どこからも引かれずに消えます。
「控除額21万円」と聞くと21万円得する気がしますが、実際に戻る額は、払っている税金の額で決まります。2年目に初めて年末調整をすると、思ったより戻らないと感じることがあります。その理由のひとつが、この上限です。
こんなときは要注意。控除が受けられない年がある
国税庁の説明書には、控除を受けられない年分も書かれています。当てはまる年は、証明書兼申告書を出しても控除になりません。
- その年の合計所得金額が2,000万円を超える年
- 床面積40㎡以上50㎡未満の家で、合計所得金額が1,000万円を超える年
- その家に住まなくなった年以降(転勤などは一定の手続きで再適用できる場合あり)
転勤の予定がある人は、家を離れる前に手続きが必要になる場合があります。国税庁のホームページで確認するか、税務署に相談してください。
2年目でつまずかないためのチェックリスト
- 税務署の書類は届いた?(紙は11月下旬ごろで3年目以降の分も入っている。電子は毎年11月中旬ごろ)
- 自分は証明書方式?調書方式?(残高証明書が銀行から来るかで分かる)
- 証明書方式なら、借入先すべての残高証明書がそろった?
- 繰上返済をした年なら、印字の残高ではなく実際の残高で計算した?
- 計算は「年末残高(少ない方・居住用割合)→×0.7%→控除限度額で頭打ち→100円未満切り捨て」の順で合っている?
- 来年以降の用紙と返済計画表を、同じ場所に保管した?
住宅ローン控除の2年目は、書類を会社に出すだけで終わる年です。手間がかかるのは、むしろ3年目。2年目のうちに、来年分の用紙と返済計画表をまとめておけば、来年の11月に探し物をせずに済みます。
入居年で上限が違う、残高を自分で書く年が来る、引ききれない分は消える。この3つだけ覚えておけば、年末調整で損をする場面はかなり減らせるはずです。
出典
- 国税庁「No.1230 住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合の手続(調書方式)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1230.htm
- 国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
- 国税庁「No.1213」(令和3年以前居住分の控除限度額)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
- 国税庁「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書の記載例(令和8年分)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/pdf/308.pdf
- 国税庁「年末調整で住宅借入金等特別控除を受ける方へ(令和7年居住者用)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/jukari/nencho-jukari.pdf
- 横浜市「個人市民税・県民税の税額控除」https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/zeikin/y-shizei/kojin-shiminzei-kenminzei/kojin-shiminzei-shosai/zeigakukoujo.html
関連記事
年末調整の還付は12月の給料で。2026年は改正で年収600万円なら約3.7万円上乗せ
年末調整の還付は、原則として「その年最後に受け取る給料(または賞与)」で戻ってきます。多くの会社では12月の給料日です。…
ふるさと納税の上限、年収600万円なら所得割の約25%。年収650万円は早見表より1.2万円低い【2026年】
本記事はプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。 「ふるさと納税の上限って、結局いくら?」 サイトのシミュレータ…
年末調整しないとどうなる?罰則は0円、でも申告書なしだと天引きが年18万円増える
「年末調整の書類、出さなかったらどうなるの?」 結論から書きます。出さなかったことへの罰則は、所得税法に見当たりません。…