共働きの家事分担、夫の時間は15年で2倍。なのに妻との差は1分も縮んでいなかった【国の統計】

「最近は、夫もけっこう家事をやってくれるようになった」

そう感じている共働き家庭は多いと思います。

国の統計を見ても、その感覚は正しいです。6歳未満の子どもがいる共働き家庭で、夫の家事・育児の時間は15年で59分から1時間55分へ、ほぼ2倍になりました。

ところが、同じ15年で妻の時間も5時間37分から6時間33分に増えています。

夫婦の差は、2006年が4時間38分、2021年も4時間38分。15年たっても、1分も縮んでいません。

この記事の結論

  • 共働きでも、家事・育児の約77%は妻が担っています(2021年)。
  • 夫の時間は15年で2倍になりました。ただ、妻の時間も同じ56分増え、差は4時間38分のままです。
  • 妻が働いていても、夫の家事・育児は専業主婦の家庭より1日8分長いだけです。

きなこ
無駄を省いて無駄なことするKINAKOです。
今回は体験談ではなく、国の統計だけで書いています。
Xをやってます。

使ったデータは、総務省の「社会生活基本調査」です。5年に1度、全国の約19万人に1日の過ごし方を記録してもらう大きな調査で、最新は2021年です。

この記事で出てくる「家事関連時間」は、家事・育児・買い物・介護の時間を合計したものです。数字はすべて、平日と土日をならした1日あたりの平均です。

共働き夫婦の1日:夫1時間55分、妻6時間33分

まずは2021年の数字です。6歳未満の子どもがいる共働き夫婦の、1日の家事関連時間を並べました。

夫 妻
家事 34分 2時間37分
育児 1時間3分 3時間24分
買い物 17分 29分
介護・看護 1分 3分
合計 1時間55分 6時間33分

夫婦の合計は8時間28分です。そのうち妻が6時間33分なので、妻の分担は約77%になります。内閣府の男女共同参画白書も、同じ77.4%という数字を出しています。

1日の差は4時間38分です。

1週間にすると約32時間、1か月(30日)では約139時間になります。8時間勤務に置きかえると、1か月で約17日分の差です。

正社員の1か月の出勤日は20日前後なので、妻はもう1つ、ほぼ別の仕事を持っている計算になります。

夫は2倍になった。それでも差が1分も縮まらない理由

次に、15年前と比べます。同じ「6歳未満の子どもがいる共働き夫婦」の数字です。

2006年 2021年 増えた時間
夫 59分 1時間55分 +56分
妻 5時間37分 6時間33分 +56分
夫婦の差 4時間38分 4時間38分 ±0分

夫も妻も、きっちり56分ずつ増えています。偶然にしてはできすぎた数字ですが、統計の表をそのまま引き算するとこうなります。

夫が増やした分は、ほとんどが育児と家事です。育児は30分から1時間3分に、家事は14分から34分に増えました。

では、妻はなぜ増えたのか。内訳を見ると理由がはっきりします。

  • 妻の家事:2時間53分 → 2時間37分(16分減った)
  • 妻の育児:2時間8分 → 3時間24分(1時間16分増えた)

妻の家事は減っています。そのかわり、育児の時間が1時間16分も増えました。

つまり、夫が頑張って増やした56分を、育児の増加がまるごと飲みこんだ形です。夫婦2人分の家事・育児の総量が、15年で1時間52分も増えています。

総量がなぜ増えたのかまでは、統計からはわかりません。子ども1人にかける手間が増えたのか、共働きでも子育てを手厚くする家庭が増えたのか。いずれにしても、「夫が手伝えば楽になる」という単純な話ではなかったわけです。

妻が働いても、夫の家事・育児は1日8分しか増えない

同じ調査には、妻が専業主婦の家庭(夫だけが働いている家庭)の数字もあります。6歳未満の子どもがいる家庭どうしで比べてみます。

共働き 妻が専業主婦 差
夫の家事関連時間 1時間55分 1時間47分 8分
うち家事 34分 20分 14分
うち育児 1時間3分 1時間6分 -3分
妻の家事関連時間 6時間33分 9時間24分 -2時間51分

妻が外で働いている家庭でも、夫の家事関連時間は専業主婦の家庭より8分長いだけです。家事は14分多いものの、育児はむしろ3分短くなっています。

一方で、妻の時間は2時間51分短くなっています。妻は働きに出た分、家事と育児を削っています。夫の1日は、妻が働いているかどうかでほとんど変わっていません。

ただし、注意点が1つあります。この表には仕事の時間が入っていません。共働きの妻には、パートなどの短時間勤務も含まれています。

なので、この数字だけで「どの家庭も不公平だ」とは言い切れません。言えるのは、妻が働き始めても、夫の生活時間はほとんど動いていないということです。

夫の育児の4割は「子どもと遊ぶ」時間

同じ調査には、もっと細かい行動の内訳もあります。こちらは共働きと専業主婦の家庭を合わせた、6歳未満の子どもがいる夫婦の数字です(2021年)。

夫 妻
食事の管理(料理・食器洗いなど) 14分 1時間25分
乳幼児の世話と見守り 28分 2時間3分
乳幼児と遊ぶ 27分 56分
育児の合計 1時間6分 3時間37分

夫の育児1時間6分のうち、27分が「子どもと遊ぶ」時間です。夫の育児の約4割は遊びで、妻は約4分の1です。

差がとくに大きいのは、料理や食器洗いの「食事の管理」です。夫14分に対して、妻は1時間25分。約6倍です。

子どもと遊ぶのも、もちろん大事な育児です。ただ、食事を食べさせる、着替えさせる、公園で目を離さないといった「世話」は、遊びより時間も気力も使います。その世話の時間で、夫婦に4倍以上の差があります。

明るい材料もあります。夫の「世話と見守り」は、2016年の11分から2021年は28分へ、5年で2.5倍になりました。2016年に夫の育児でいちばん長かったのは「遊ぶ」でしたが、2021年は「世話と見守り」がいちばん長くなっています。

この数字を、夫婦の話し合いにどう使うか

ここからは統計ではなく、数字を見たうえでの私の提案です。

1. 回数ではなく、時間で比べる

「ゴミ出しは毎回やってる」「お風呂掃除は自分の担当」。分担の話し合いは、回数や項目の数で比べがちです。

でも、ゴミ出しは5分、夕食づくりと片づけは1時間以上かかります。同じ「1つの家事」でも、重さがまったく違います。

上の表と同じ「家事・育児・買い物」の3つに分けて、ふだんの1日に何分かかっているかを夫婦それぞれ書き出してみてください。感覚ではなく、時間の数字で並べると話が早くなります。

2. 「手伝う」ではなく、項目ごと持つ

差がいちばん大きいのは「食事の管理」でした。献立を考える、買う、作る、片づけるまでを、曜日を決めて丸ごと夫の担当にする。こういう持ち方なら、妻が指示を出す手間も減ります。

「言ってくれればやるのに」という言葉は、裏を返せば、何をやるか決める仕事は妻に残っているということです。

3. 全国平均を物差しにする

共働き家庭の夫の平均は、1日1時間55分でした。自分の家の夫がこれより長いか短いかを見ると、ひとつの目安になります。

ただし、「平均並み」は「妻より4時間以上少ない」と同じ意味です。平均を超えたからといって、胸を張れる数字ではありません。

まとめ:夫は2倍やるようになった。それでも差は4時間38分のまま

  • 6歳未満の子どもがいる共働き家庭で、家事・育児の約77%は妻が担っています。
  • 夫の時間は15年で59分から1時間55分へ、ほぼ2倍になりました。
  • ただ、育児の総量も増えたため、妻の時間も56分増えました。夫婦の差は4時間38分のままです。
  • 妻が働いていても、夫の家事・育児は専業主婦の家庭より1日8分長いだけです。
  • 夫の育児の約4割は「遊ぶ」時間で、料理や食器洗いは妻の約6分の1です。

「夫が家事をやるようになった」のは本当です。でも、それで公平になったわけではありません。

15年かけて56分増やしても、差は1分も縮まらなかった。家事・育児は、気合いではなく総量と時間の配分で話し合うものです。

ではまた。

出典

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