ふるさと納税の上限、年収600万円なら所得割の約25%。年収650万円は早見表より1.2万円低い【2026年】

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「ふるさと納税の上限って、結局いくら?」

サイトのシミュレーターに年収を入れれば数字は出ます。でも、その数字がどこから来たのかは、画面のどこにも書いてありません。

そこで私は、総務省と市区町村が公開している計算式を、2026年の税制で一つずつたどり直しました。結果、意外なことが2つ分かりました。

  • 上限は「住民税の2割」ではなく、年収600万円なら住民税の所得割の約25%+2,000円(年収によって約24〜36%)。2割は寄附額の上限ではありません
  • 年収650万円・独身だと、ネットで今も出回っている早見表(9.7万円)より約1.2万円低い。2025年・2026年の所得税の基礎控除引き上げで、ふるさと納税の上限が下がった人がいます

この記事は、2026年1〜12月に寄附する会社員(給与収入だけの人)を前提に、2026年11月7日時点で確認できた制度で書いています。楽天のポイントの話は別の記事にまとめたので、ここでは「上限の計算」だけを扱います。

結論:上限は「所得割×20%÷割合+2,000円」。年収600万円・独身で77,323円

先に答えを書きます。自己負担2,000円で済む寄附額の上限は、次の式で出ます。

上限 = 住民税所得割額 × 20% ÷ 特例分の割合 + 2,000円

「特例分の割合」は、所得税の税率で決まる数字です。年収600万円・独身の会社員なら79.79%。この式に当てはめると、上限は77,323円になります(社会保険料を年収の15%と置いた場合)。

よく聞く「住民税の2割」は、式の中の「×20%」の部分です。これは寄附額の上限ではなく、住民税から差し引かれる3つの控除のうち、1つ(特例分)の上限です。なぜ割り算が入るのかは、次の章で説明します。

なぜ「2割」が約25%になるのか:控除は3つに分かれている

総務省のふるさと納税ポータルサイトでは、寄附したお金が戻る仕組みを3つに分けて説明しています。

控除 計算式 どこから戻るか
①所得税からの控除 (寄附額−2,000円)×所得税の税率 その年の所得税
②住民税からの控除(基本分) (寄附額−2,000円)×10% 翌年度の住民税
③住民税からの控除(特例分) (寄附額−2,000円)×(90%−所得税の税率) 翌年度の住民税

①②③を足すと、ちょうど「寄附額−2,000円」の100%になります。①と②で戻らなかった残りを、③が全部埋める作りです。

ただし、③にだけ上限があります。総務省の説明では、特例分が住民税所得割額の2割を超えると、3つを合計しても全額は控除されず、負担が2,000円を超えます。

つまり、上限が決まる瞬間は「③=所得割×20%」になったときです。③は寄附額の約8割(年収600万円なら79.79%)なので、寄附額で言い直すと「所得割×20%÷0.7979」。だから2割ではなく、約25%になります。

なお、所得税の税率には復興特別所得税(所得税の2.1%)を足します。たとえば税率10%の人は10.21%です。総務省のページは「2037年中の寄附まで」としていますが、令和8年度の税制改正で復興特別所得税は2047年まで延長され、2027年からは率も下がります。2026年中の寄附は、この2.1%で計算します。

特例分の割合は、会社員の多くが当てはまるのは5段階。年収が上がるほど「2割」より大きくなる

特例分の割合は、所得税の税率ごとに決まっています。さいたま市・横浜市・川崎市の公式ページに同じ表が載っています。全部で7段階あり、ここでは会社員の多くが当てはまる1,800万円以下の5段階を載せます。所得割の何%が上限になるかを、私が右の列に足しました。

判定に使う金額(※) 所得税率 特例分の割合 上限は所得割の約
195万円以下 5% 84.895% 23.6%
195万円超330万円以下 10% 79.79% 25.1%
330万円超695万円以下 20% 69.58% 28.7%
695万円超900万円以下 23% 66.517% 30.1%
900万円超1,800万円以下 33% 56.307% 35.5%

※判定に使う金額 = 住民税の課税所得 − 人的控除の差(独身なら5万円) − (所得税の基礎控除額 − 48万円)

この「判定に使う金額」の最後の引き算が、2026年に効いてきます。後の章で詳しく書きます。

年収600万円・独身の会社員で計算してみる

実際に数字を入れます。前提は、給与収入600万円だけ、独身、社会保険料は年収の15%(90万円)、ほかの控除なし、です。

手順 計算 金額
1. 給与所得 600万円−給与所得控除164万円(600万円×20%+44万円) 436万円
2. 住民税の課税所得 436万円−社会保険料90万円−住民税の基礎控除43万円 303万円
3. 所得割(調整控除の前) 303万円×10% 303,000円
4. 調整控除 課税所得200万円超なので最低額(5万円×5%) 2,500円
5. 所得割(調整控除の後) 303,000円−2,500円 300,500円
6. 特例分の上限 300,500円×20% 60,100円
7. 割合の判定 303万円−5万円−(104万円−48万円)=242万円 → 10%の段 79.79%
8. 上限 60,100円÷0.7979+2,000円 77,323円

手順7の「104万円」は、2026年分の所得税の基礎控除です。国税庁の資料では、合計所得489万円以下の人は104万円(本則62万円+特例42万円)になりました。

検算もしておきます。77,323円を寄附すると、所得税から7,690円、住民税の基本分から7,532円、特例分から60,100円。合計75,322円で、寄附額から約2,000円を引いた額と一致します。

この77,323円は、ネットで出回っている総務省の目安表(年収600万円・独身で77,000円)とほぼ同じです。ここまでは問題ありません。問題は、年収が少しずれたときです。

年収650万円は、古い早見表より約1.2万円低い

同じ前提で年収を動かし、総務省の目安表と比べました。目安表は、益田市が「総務省ふるさと納税ポータルサイトより抜粋」として載せている表を使っています。資料の作成は2018年1月なので、2018年ごろの表です。

給与収入 目安表(独身) 2026年の制度で計算 差
400万円 42,000円 42,167円 +167円
500万円 61,000円 57,480円 −3,520円
600万円 77,000円 77,323円 +323円
650万円 97,000円 85,469円 −11,531円
700万円 108,000円 108,209円 +209円
800万円 129,000円 129,767円 +767円

ほとんどの年収では、差は数百円です。目安表は切りのいい数字に丸めているので、この程度は誤差の範囲です。

ところが、年収650万円だけ1万円以上ずれます。10万円刻みで調べると、ずれが出たのは年収450万〜520万円(約3,000〜3,700円低い)と、650万〜670万円(約1.2万円低い)でした(社会保険料15%の前提)。

このうち、450万〜470万円と650万〜670万円は、2025年分の基礎控除の引き上げの時点で、すでに低くなっていました。2026年の引き上げで新しく低くなったのは、480万〜520万円です。

原因は基礎控除の引き上げ。税率の段が下がると、上限も下がる

ずれの原因は、手順7の「(所得税の基礎控除額−48万円)」の引き算です。横浜市・川崎市の令和8年度以降の計算方法には、この項目が入っています。

所得税の基礎控除は、2025年・2026年と続けて引き上げられました。年収650万円の人は、2025年分で68万円、2026年分で104万円です。2025年分の68万円の時点で、判定に使う金額は「335.5万円−5万円−20万円=310.5万円」となり、所得税率20%の段から10%の段に下がっていました。2026年分は「335.5万円−5万円−56万円=274.5万円」で、10%の段のままです。

税率が下がると、①所得税から戻る分が減ります。その分を③特例分が多く埋めることになり、③の「2割」の壁に早く当たります。基礎控除が上がって所得税の税率の段が下がった人ほど、ふるさと納税の上限は下がる。直感とは逆ですが、式の上ではそうなります。

古い表の9.7万円で寄附すると、私の計算では負担は2,000円ではなく約11,200円です。上限内で寄附したときより、負担が約9,200円増えます。

ちなみに、2026年11月7日に総務省の「税金の控除について」のページを見たところ、この目安表は載っていませんでした。さいたま市のページは今も、表があった場所へリンクしています。古い表は、転載された先で生き残っている状態です。

上限を下げるもの:iDeCoに年27.6万円出していると約7,000円下がる

式を見ると、上限を動かすのは「住民税の所得割」だけだと分かります。所得割を減らす控除があると、上限も下がります。年収600万円・独身で試算しました。

条件(年収600万円・独身) 上限 基本との差
基本(社会保険料15%) 77,323円 −
社会保険料が14% 78,827円 +1,504円
社会保険料が16% 75,819円 −1,504円
iDeCoに年27.6万円(月2.3万円) 70,405円 −6,918円

社会保険料は、加入している健康保険や年齢(40歳以上は介護保険料が加わる)で変わります。1%違うだけで、上限は約1,500円動きます。

iDeCoの掛金は全額が所得控除になるので、所得割が減り、上限も下がります。iDeCoを始めた年に去年と同じ額を寄附すると、上限を超えることがあります。

医療費控除や住宅ローン控除を使う人も、上限が変わります。総務省は、具体的な計算は住んでいる市区町村に問い合わせるよう案内しています。

自分の数字で出す手順:源泉徴収票の3か所を見る

一番正確なのは、今年の源泉徴収票の数字を使うことです。12月の給料と一緒に渡されることが多い紙です。見るのは3か所だけです。

  1. 「給与所得控除後の金額」:手順1の給与所得にあたります
  2. 「社会保険料等の金額」:iDeCoの掛金は、年末調整で控除を受けた場合だけここに含まれます
  3. 「所得控除の額の合計額」:所得税の控除の合計。基礎控除が所得税と住民税で違うため、そのままは使いません

計算の流れは次のとおりです。

  1. 住民税の課税所得 = 給与所得控除後の金額 − 社会保険料等の金額 − 43万円(住民税の基礎控除) − その他の控除
  2. 所得割 = 課税所得 × 10% − 調整控除(独身・課税所得200万円超なら2,500円)
  3. 判定に使う金額を出して、表から割合を選ぶ
  4. 上限 = 所得割 × 20% ÷ 割合 + 2,000円

源泉徴収票がまだ無い11月なら、毎年6月ごろに届く「住民税の決定通知書」の所得割額で代用できます。ただしこれは去年の収入の数字です。今年の年収が大きく変わった人は、ずれる前提で余裕を持たせてください。

計算で気をつけること

住民税の税率は、住んでいる場所で少し違う

所得割の標準は10%ですが、自治体によって違います。川崎市の計算例では、県民税が2.025%(市民税8%と合わせて10.025%)になっています。この記事の計算は10%で行いました。

所得税の新しい基礎控除は12月の年末調整から

国税庁によると、2026年の所得税の改正は2026年12月1日施行で、2026年分の所得税から適用されます。11月までの給料の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整でまとめて精算されます。11月までの給与明細を見て計算すると、所得税の数字がずれます。

2027年の寄附からは、計算の前提が変わる

財務省の令和8年度税制改正の解説では、2027年1月から防衛特別所得税が始まり、復興特別所得税の率が下がります。「税率×1.021」の部分が変わる可能性があるので、この記事の割合の表は2026年中の寄附にだけ使ってください。

また、税理士法人の解説によると、2028年度の住民税(2027年の寄附)から、特例分に合計193万円の定額上限が加わります。対象は給与収入が約1億円以上の人なので、多くの会社員には関係しません。

楽天で寄附するなら:ポイントの仕組みは別の記事で

上限が分かったら、あとは寄附するだけです。楽天ふるさと納税で寄附する場合、2025年10月からポイントの付き方が大きく変わりました。お買い物マラソンの買いまわり対象外になったことや、楽天カード払いで残る最大3倍のポイント、ワンストップ特例の締切は、こちらの記事にまとめています。

楽天ふるさと納税はお買い物マラソン対象外に。楽天ポイントが残るのはカード払いの最大3倍だけ【2026年】

今年の控除に入れるには、12月31日までに決済まで終える必要があります。上限ぎりぎりではなく、数千円の余裕を残して寄附するのが安全です。

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まとめ:「2割」と「早見表」をそのまま信じない

  • 上限 = 住民税所得割 × 20% ÷ 特例分の割合 + 2,000円
  • 2割は特例分の上限。寄附額で言い直すと、所得割の約24〜36%(年収600万円なら約25%)
  • 年収600万円・独身・社会保険料15%なら77,323円
  • 2025年・2026年の所得税の基礎控除引き上げで、年収450万〜520万円・650万〜670万円あたりは2018年ごろの早見表より低くなる。年収650万円で約1.2万円(650万円は2025年分の時点ですでに低い)
  • iDeCoに年27.6万円出していると、上限は約7,000円下がる

基礎控除が上がったのに、ふるさと納税の枠は狭くなる。制度の継ぎ目には、こういう落とし穴があります。早見表は便利ですが、作られた年の税制で止まっています。今年の数字は、今年の式で出すのが一番確実です。

出典

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