10月21日は「あかりの日」です。1879年のこの日に、エジソンが白熱電球を長い時間ともし続けたことにちなんで、照明関係の団体が1981年に決めた記念日です。
その電球の歴史に、いま大きな区切りが来ています。家やオフィスで使う一般照明用の蛍光灯が、2027年末までに製造と輸出入を禁止されます。決めたのは、水銀に関する国際条約(水俣条約)です。今日から数えると、残りはおよそ14か月です。
そこで、家の照明をLEDに替えると電気代がいくら変わるのかを、公的機関とメーカーが公表している数字で計算しました。
先に結論
- 白熱電球(54W)1個をLED電球(9W)に替えると、電気代は年約2,790円下がる計算です(年2,000時間、1kWhあたり31円)。
- LED電球の値段は、楽天の検索上位30件の中央値で1,275円でした(セット品を含む)。この値段なら約5.5か月で元が取れます。
- パナソニックの試算では、蛍光灯の照明器具(100形)をLEDシーリングライトに替えると年約2,900円、10年で約29,000円の節約です。
- 2011年に出た初期のLEDシーリングライトでも、2025年の新製品に替えると年約2,300円下がる、というメーカー試算もあります。
- 製造が止まった後も、今ある蛍光灯は使い続けられますし、在庫の販売も禁止されません。慌てて全部を替える必要はありません。
蛍光灯はいつ作られなくなるのか
2022年と2023年の水俣条約の締約国会議で、一般照明用の蛍光灯の製造と輸出入を止めることが決まりました。期限は種類ごとに違い、最後が2027年末です。蛍光灯には少量の水銀が使われているためです。
環境省の解説(2026年4月15日)によると、期限は種類ごとに違います。
| 種類 | 製造・輸出入の禁止 | パナソニックの生産終了 |
|---|---|---|
| 電球形蛍光灯 | 2026年1月1日から(30W超は2027年1月1日から) | 生産終了済み |
| コンパクト形 | 2027年1月1日から | 2026年9月末で生産終了 |
| 直管形(細長い棒の形) | 2028年1月1日から | 2027年9月末(三波長形) |
| 環形(丸い形) | 2028年1月1日から | 2027年9月末(三波長形) |
直管形と環形のうち、古い種類の蛍光体(ハロりん酸塩)を使ったものは、1年早い2027年1月1日から禁止です。
家庭でよく使われる丸い蛍光灯や細長い蛍光灯は、「2027年12月31日まで作ってよい」という意味になります。ただ、メーカーはそれより早く生産を終えます。パナソニックの場合は2027年9月末で、今日から約11か月後です。
一方で、禁止されるのは製造と輸出入だけです。環境省は、使用中の蛍光灯は引き続き使えること、販売や購入も禁止されないことを明記しています。困るのは、「切れた時に替えの蛍光灯が手に入りにくくなる」ことの方です。
電球1個をLEDに替えると、年いくら浮くか
まず一番分かりやすい、電球の計算です。計算の条件は次の通りです。
- 白熱電球: 60形の54W
- LED電球: 同じ明るさの9W(栃木県の省エネ資料と同じ組み合わせ)
- 使う時間: 年2,000時間(1日約5.5時間)
- 電気代: 1kWhあたり31円(家電の電気代表示に使われる目安単価、2022年7月改定)
| 白熱電球 54W | LED電球 9W | |
|---|---|---|
| 年間の電力量 | 108kWh | 18kWh |
| 年間の電気代 | 約3,348円 | 約558円 |
| 差 | 年約2,790円(電力量は約83%減、この記事での計算) | |
LED電球の値段は、楽天でキーワード「LED電球 60形 E26」の検索上位30件を見ると、298円から3,980円でした。中央値は1,275円です。複数個セットの商品も含むので、1個あたりはもう少し安くなります。
仮に1個1,275円とすると、元が取れるまでの期間は次の計算です。
1,275円 ÷ 年2,790円 = 約0.46年 = 約5.5か月
白熱電球がまだ残っている場所なら、替えない理由はほとんどありません。ただし、すでに電球形の蛍光灯を使っている場所は、もともと消費電力が小さいので、LEDに替えても差はずっと小さくなります。その場合は、電気代より「切れた時の替えがなくなる」ことの方が、替える理由になります。
天井の照明(シーリングライト)を替えると
家の照明で消費電力が大きいのは、多くの場合リビングや寝室の天井の照明です。パナソニックが公表している試算を2つ並べます。条件はどちらも、年2,000時間・1kWhあたり31円です。
| 替える前 | 替えた後 | 消費電力 | 年間の電気代 |
|---|---|---|---|
| 蛍光灯の器具(100形ツインパルック) | 2025年発売のLEDシーリングライト | 約56%減 | 約2,900円安い(10年で約29,000円) |
| 2011年発売の初期のLEDシーリングライト | 2025年発売のLEDシーリングライト | 約50%減 | 約2,300円安い |
年2,900円の差を電力に直すと、約94kWhです。2,000時間で割ると、消費電力の差はおよそ47Wになります(これはこの記事での逆算です)。
意外なのは2行目です。LEDに替えた家でも、15年前の初期の製品なら、最新の製品とは電気代が年2,300円ほど違うという試算です。「うちはもうLEDだから関係ない」とは言い切れません。
シーリングライトの値段は、明るさや機能(調色、スピーカー付きなど)で大きく変わります。元が取れる期間は、本体の値段を年間の節約額で割れば出せます。
| 本体の値段 | 蛍光灯器具から(年2,900円) | 初期LEDから(年2,300円) |
|---|---|---|
| 5,000円 | 約1.7年 | 約2.2年 |
| 10,000円 | 約3.4年 | 約4.3年 |
| 20,000円 | 約6.9年 | 約8.7年 |
蛍光灯の器具からなら、1万円の製品でも4年かからずに元が取れる計算です。初期のLEDからの買い替えは、元が取れるまでの期間が長くなるので、急ぐ理由は小さめです。
なお、天井の器具の交換は、引っかけシーリング(天井の差し込み口)があれば自分でできることが多いです。差し込み口がなく、器具が天井に直接つながっている場合は、電気工事士の資格が必要な工事になります。
家全体だといくらになるか(例)
例として、次のような家を考えます。
- 天井の蛍光灯器具(100形)が3部屋
- 廊下・トイレ・玄関などに白熱電球が4個
すべての照明を年2,000時間ずつ使うとすると、次の計算になります。
- 天井の照明: 2,900円 × 3 = 8,700円
- 電球: 2,790円 × 4 = 11,160円
- 合計: 年約19,860円
実際には、廊下やトイレの電球は1日5.5時間もつけません。使う時間が半分なら、電球の節約額も半分です。それでも、使う時間が半分なら約11か月で元が取れます。1日1時間しか使わない場所だと、元が取れるまで約2.5年かかります。
あなたの家の金額を出すには、照明ごとに「何Wの物を、1日何時間使うか」を見るのが一番確実です。消費電力は、電球や蛍光灯の根元か、器具に貼られたラベルに書いてあります。
あかりの日の由来と、電球の140年余り
最後に、あかりの日そのものの話です。日本照明工業会(当時は日本電球工業会)、照明学会、日本電気協会などが、1981年に10月21日を「あかりの日」と決めました。
由来は、1879年10月21日に、エジソンが炭素のフィラメントを使った電球を長時間ともし続けたことです。どれくらい点灯したかは、資料によって13.5時間から45時間までばらつきがあります。白熱電球そのものは、エジソンより前にも作られていました。エジソンの功績は、「実用的な長さで光り続ける電球」にしたことだとされます。
それから140年余り。エジソンが育てた白熱電球は家庭の主役をLEDに譲り、次は蛍光灯の番が来ています。
まとめ
- 一般照明用の蛍光灯は2027年末までに製造・輸出入が禁止される。メーカーの生産終了はもっと早い(パナソニックは2027年9月末)。
- 使用と販売は禁止されないので、今すぐ全部替える必要はない。困るのは替えの蛍光灯が手に入りにくくなること。
- 白熱電球1個をLEDに替えると年約2,790円。LED電球が1,275円なら約5.5か月で元が取れる。
- 天井の蛍光灯器具をLEDに替えると年約2,900円(パナソニック試算)。1万円の器具なら約3.4年で元が取れる。
- 初期のLEDでも、最新の製品とは年約2,300円の差があるという試算がある。
お金の面で効率がよい順番は、①白熱電球が残っている場所、②長い時間つける部屋の蛍光灯器具、です。それ以外の蛍光灯は、替えが手に入りにくくなる前に、計画的に替えていけば十分です。
出典
- 環境省 ecojin's EYE「蛍光ランプの製造・輸出入禁止」2026年4月15日 https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/eye/20260415.html
- パナソニック「蛍光灯からLEDへの交換について」(よくあるご質問、生産終了時期・電気代試算) https://panasonic.jp/lamp/replace-led-faq.html
- 栃木県「家庭でできる省エネ」(54Wの白熱電球から9Wの電球形LEDに交換した場合、年間2000時間使用) https://www.pref.tochigi.lg.jp/d02/documents/katei.pdf
- 全国家庭電気製品公正取引協議会 電力料金目安単価 31円/kWh(税込、2022年7月改定)
- 楽天市場 キーワード「LED電球 60形 E26」検索上位30件の価格(2026年10月21日、楽天APIで取得)
- あかりの日の由来: BCN+R(2018年10月22日)、現代ビジネス「白熱電球を発明したのは誰?」ほか
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